きもの専門店の業績の明暗を分けるもの(1)

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
先週16日(火)に顧問をさせていただいています全国きものスタイリスト協会」主催のきものスタイリスト全国大会」に招かれて講演をさせて頂きました。

私の講座の後に全国のきもの専門店で働く「きものスタイリスト」の中でも特に優秀な「神セブン」と呼ばれるスタイリストの表彰式が行われました。
とても良い時間でした。
 
そもそもきものと言う事業は斜陽産業です。
多くのきもの事業者が業績不振にあえいでいる状況かと思います。
そんな中でも今回受賞された「神セブン」を輩出したような、元気があって業績を伸ばし続けているような事業者もあるのは驚きです。
 
その業績の明暗を分ける要因が今回表彰式で受賞された優秀なきものスタイリストの受賞スピーチから見えて来た気がしました。
3回シリーズでまとめます。
 
<1.モチベーションの差>
業績の良し悪しを分ける要因は、経営者や従業員がきものに対して未来を感じるかどうかにかかっている気がします。
いわゆるモチベーションの差のようです。
業績不振の事業者の経営者や従業員はきものは消費者から必要とされていない」と考えていますし、業績の良いきもの事業者は経営者も従業員もきものは消費者から必要とされている」180度違うモチベーションを持っているのです。
業績不振のきもの事業者の経営者や従業員の多くは恐らく70歳超えていらっしゃり、市場の衰退の歴史を見て来た方なので無理もありません。
当然、事業投資も既にしていない事と思います。
 
それに対して業績の良いきもの事業者の経営者や従業員に共通して言えるのは、50代以下と業界の中ではまだまだ若く、きもの市場の再生を夢見ている人です。
当然、きもの事業に対する投資も惜しみなく進めています。
業績の明暗が分かれるのは当然のことかと思います。
 
今回の受賞者のスピーチを聴いてそれを強く感じました。
 
要するに扱う商品に対して夢を持てる心が必要なのです。
そこには本来年齢は関係ないでしょうが、きもの業界がどんどん若返りを加速させることがきもの業界には最も大切な再生戦略のようです。
きものの事業を辞めて行くものがあれば、それを拾って再生して残存者メリットを享受する者もある。
自然の摂理なので、そんな変化は長い目で見ると業界にとってはきっと良い事でしょう。
 
きもの専門店の業績の明暗を分けるもの(2)に続く
 
<全国きものスタイリスト協会>

外国人に「体験価値」を売るビジネスが京都にオープン!

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
今年に入って「体験価値」をテーマにコラムを書いています。
 
この3月に、以前アドバイスさせていただいた企業様が外国人観光客を対象に日本の伝統文化を体験していただくサービスを始めました。
とても素晴らしお店になりましたのでご紹介します。
 
<錦 折鶴屋>
こちらのお店は外国人観光客をメインターゲットに
①きもの体験
②茶道体験
③書道体験
この3つの体験ができるサービスをメインに行っています。
さらにオプションで記念写真サービスやオリジナルTシャツサービスなども行っています。
シンプルで外国人ウケするサービスだと思います。
 
提供価格は①②③の体験を合わせて12,000円(税別)となります。
サービス時間は120分となります。
円安の今、120分で12,000円(税別)の体験サービスは外国人の財布に取っては割安に感じると思われます。
逆に日本人にとっては割高と感じる事でしょうから、あくまで外国人観光客メインの事業となることでしょう。
 
お店の店長様からお話を聞かせていただきましたが、こちらの事業者様は飲食事業者からの観光事業への新規参入とのこと。
オープンしてお客様の出足は順調とのことで、店頭からのふらっと来店より、やはりウエブ経由の予約が多いそうです。
今後は旅行サイトやSNSなども活用して外国人観光客の目にとまるマーケティングを行ってゆくそうです。
外国人観光客の集客こそウエブという時代ですね。
 
今後このような日本の伝統文化体験を提供するサービス市場は成長します。
また、京都がオーバーツーリズムと言う事もあり、観光客の足は地方に向きますから、このようなサービスは京都だけでなく、全国各地に広がることが予想されます。
 
きもの事業者、貸衣装事業者、写真事業者、美容事業者などがこのビジネスには親和性があるので注目して欲しいところです。
ぜひ船井総研と一緒にこのビジネスを推進して行けたらと思います。
 

外国人観光客は「体験価値」の最大の理解者

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この週末に外国から知り合いがたずねて来たので、その知り合いを連れて福岡に行ってきました。
今年から私がビジネスのテーマに掲げているのが「観光」ですから、地方の観光状況をハンティングするのにも好都合でした。
 
まず驚いたのが福岡の太宰府天満宮は予想以上に外国人観光客でごった返していたことです。

日本人はまばらにしかいません。
まるで京都や浅草の状態ですね。
 
既に報道されていますが、京都や浅草がオーバーツーリズムで外国人観光客が日本の地方都市に目を向けているとの事。
その状況が実際に体感できました。
 
最近の外国人観光客は日本文化の体験を目的に来日するようになりました。
コロナ前の「爆買い」はもう姿を消したようです。
外国人観光客こそ日本文化の「体験価値」を分かっているのです。
 
まず一番外国人が体験したいのはもちろん日本食の体験です。
日本は独特な食文化を持っていますから外国人にとってはとても魅力的なのですよね。
寿司、焼き鳥、天ぷら、ラーメン…。
お店に入ると本当に外国人観光客が増えてきています。
地方都市の外食事業者も本気で外国人をお客様にすることを考える時期に来ているようです。
 
そして二番目に外国人観光客が体験したいのが伝統文化の体験です。
きものや茶道や書道や武道などを始めとした伝統的な文化にこれからの外国人は魅力を感じるようです。
これらの体験を提供するサービス市場が伸びるので、伝統文化にまつわる事業者は腰を上げた方が良いです。
 
今回訪問した太宰府天満宮は京都や浅草のようにきもの姿の外国人はまだまばらにしか見かけませんでした。
まだ地方での観光事業者が提供しているのは「観光土産」がまだまだメインのようです。
今後、きもの体験や茶道体験や書道体験を始めとした外国人観光客に日本文化を体験してもらうサービスが地方都市でも伸びる可能性を感じました。
 

ひとは仕事を通して感謝される体験が大好き(2)美容編

いつも読んでいただきありがとうございます。
前回は「ひとは仕事を通して感謝される体験が大好き」と言うタイトルで書きました。
特に自己肯定感の低い若者にとっては「感謝体験」こそが社員の採用や定着にとても大切なのです。
今回もその続きを美容業界を例にして書きたいと思います。
 
私は美容業界に関わっていますが、美容師と言う仕事こそこの感謝体験」に支えられている気がします。
美容の仕事は自分の仕事の価値がそのままお客様からダイレクトに帰ってくる仕事だからです。
 
現に美容専門学校の学生に「なぜ、美容師になりたいですか?」と質問をすると、多くの学生は「ひとに感謝される仕事だから」と答えます。
美容師を志すひとたちはピュアに「感謝」されることが大好きに見えます。
 
そして若手美容師が美容室を辞める理由は…
「先輩やお客様にいつまでたっても感謝してもらえないというのが多いのも納得です。
そもそも美容の仕事は長い修行期間がある仕事です。
その修行期間は当然未熟なので貢献できる業務はありません。
ですから先輩からもお客様からも感謝されることがないので、修業途中で心が折れて辞めてしまう人が多いのです。
そんなことから現在の美容業界では修行期間を短縮して、より早く先輩や同僚やお客様から「感謝体験」が得られる取り組みを進めている企業が増えているのです。
 
美容室経営で大切なのは…
今以上に感謝される技術に磨きをかけること。
新人でも感謝される役割を作ること。
そして会社ぐるみで感謝のある組織にすること。
美容室は仕事を通して「感謝体験」が得られる会社の風土を作っていただきたいと思います。

ひとは仕事を通して感謝される体験が大好き(1)

いつも読んでいただきありがとうございます。

今年に入ってから「体験価値」をキーワードにコラムを書いています。
 
この春も就活シーズンとなり、採用に関する相談を受けます。
最近採用の現場で感じるのは、この採用と言うジャンルでも体験価値」を意識しないといけないと言う事です。
 
採用における体験価値とは一言で言って…
「仕事を通して感謝される体験」のことです。
最近、多くの学生のヒアリングから聞こえてくるのが…
「ひとに感謝される仕事に就きたい」ということです。
特に優秀な学生ほどそれを口にします。
ですから若者が就活の際、会社や仕事を選ぶ基準にこの会社や仕事はひとに感謝される会社や仕事なのかどうか?」を見ているようです。
 
ただにとってはとにかく安心できる会社を選ぶことをゴールとして自分の子供(学生)に向き合います。
ですから「有名企業」や「安定企業」や「優良企業」と言うレッテルで判断するよう、子供(学生)にアドバイスをするものです。
最近の若者は素直ですからそのアドバイスに従う傾向が強いです。
しかし実際に努力して「有名企業」に入社してみたけれど、思ったよりひとに感謝される仕事ではなかった」という理由で辞める人が多いのが現実です。
せっかく努力して入社した難関企業でも、今の若者は仕事を通して先輩やお客様から「感謝」される体験ができないと惜しげもなくさっさと辞めてしまうのです
 
実際に最近の若者が会社を辞める理由は、期待したほど感謝される会社(仕事)ではなかった」という理由が増えています。
ですから企業は会社を良く見せる工夫より、本質的な仕事の価値を上げることや、仕事を通じて「感謝体験」が強く得られる会社の風土づくりをして行く事が求められているようです。
 
ひとは仕事を通して感謝される体験に飢えている(2)
に続きます。
 
<無料経営相談キャンペーン>
本日25日(月)から31日(日)まで無料経営相談を受け付けます。
きもの、写真、美容、多様なジャンルに対応致します。
お気軽にお申し込みください。
お申し込みは以下のメールにて受け付けます。
masayoshi_tasaki@funaisoken.co.jp
 

 

写真の価格は「撮影時間」の体験価値で決まる

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
今年に入ってから「体験価値」について書き続けています。
コンサル先の経営者の多くはこのコラムの熱心な読者でもあるので打ち合わせの中でも「体験価値」の質問が出ます。
先日も写真館での打ち合わせで話題に出たのですが、写真館にとっての「体験価値」について質問されました。
 
当然のように写真の価値は写真自体の完成度だと思います。
プロのカメラマンに撮影してもらったアルバムに製本された写真は一生の宝物として大切に保管され、その「所有価値」はある意味揺るがないのかと思います。
ですから当然写真館経営者は一生懸命写真の技術を磨く事を大切にしています。
 
しかしこの20年来の写真館業界の大きな動きは、子供写真館で始まった衣装や美容などが一元サービスされると言う、より消費者が写真館を簡単に利用しやすくする流れでした。
そして次第に出来上がった写真よりも、衣装や美容などの写真館を利用しやすくするサービスの良し悪しがお客様にとってはお店を決める大切な要素となったのです。
写真館もこの20年は「利用価値」の時代だったと言えます。
 
そしてこれから10年は「利用価値」+「体験価値」の時代が来るでしょう。
写真館にとっての「体験価値」とは「撮影時間」のことです。
この「撮影時間」の品質がお客様にとってお店を決める要素になる事でしょう。
なぜならインターネット上の写真館のレビュー(感想)を調査すると、現在は7割以上のレビューの内容が「撮影時間」に対するものなのです。
写真館を褒めるレビューは「楽しくモデル気分で撮影できた」というコメントですし、逆にお叱りの言葉は何かの理由があったのでしょう、「お支度や撮影で気分が悪い思いをした」と言うコメントなのです。
お客様にとっては写真館に出向くのは記念写真を撮りたいと言う目的と同時に、生まれて初めての「撮影体験」でもあるわけです。
特に女性は「モデル願望」は少なくともあるでしょうから、この撮影体験の時間に対して強い思い入れを持つ人は多いものです。
女性は自分が「一流モデル」のごとく扱われ、この「撮影体験」が感動に値するものか、残念なものになるかとても重要なことなのです。
それが例え「子供」であろうとも。
ですから今後は「撮影体験」をより価値の高いものにして行く事が写真館の勝ち方になるのでしょう。
写真の価格は「撮影時間」の体験価値で決まるのかもしれません。
 

コーヒーの価格は「体験価値」で決まる

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この土曜日も「体験価値ハンティング」を京都で行いました。
 
先週の土曜日のハンティングのテーマはコーヒーの価格は何で決まるのか?」という事になります。
まあ、タイトルに「体験価値で決まる」と書いてあるので、答えはそういう事なのですが、改めて「値付け」の奥深さに触れるハンティングとなりました。
 
お邪魔したのは京都の七条河原町に位置するKaikado Cafeです。
 

 
以前からその建物のすばらしさが目立っていて、通りがかりに気にはなっていたのですが、お邪魔するのは初めてとなります。
 
店内は若者でいっぱい。
満席でしたので10分ほど外で待っての入店でした。
 
席について早速メニューを眺めてぎょっとしました。
コーヒーの価格が1100円(税込み)なのです
ホテルのラウンジのコーヒーが1000円と言うのはよくあることです。
まあホテルの場合は「場所代」としてその価格設定と言うのは分かるのですが、京都のカフェで提供されるコーヒーの価格ではここは断トツの強気の価格設定す。
 
豆から抽出したコーヒーは
コンビニで120円
スタバなどの座れるカフェで350円前後
ハンドドリップで丁寧に淹れてくれる喫茶店で500円前後
これらがコーヒーの価格相場かと思います。
 
このお店もハンドドリップで手間をかけて淹れてくれるので、本来ならそれでも500円前後が妥当な値付けかと思います。
しかし倍以上の1100円の強気な値付けでも若者で満席の人気店である事には本当に驚きました。
その秘密は何なのでしょうか?
 
隣でくつろいでいる若い女性の二人組に野暮かとは思いましたが話を聞いてみる事にしました。
私「なんでここのお店を選んだんですか?」
女性A「コーヒーが美味しいと聞いたので…」
私「コーヒーが美味しい専門店は京都にたくさんあるでしょうが、なぜここを選んだのですか?」
女性A「純喫茶めぐりが趣味で、ここの建物が素敵で一度来てみたかったので連れてきてもらったんです」
私「隣の方もそうなんですか?」
女性B「私は何度か来ているのですが、ここで過ごす非日常的な時間が本当に好きなんです」
私「正直、コーヒーが1000円て高くないですか?(笑)」
女性B「少し高いですが、週末にたったの1000円で気分転換できるならば、テーマパークに行くより手軽で安いかなと…」
私「テーマパークとここは利用目的が同じなんですか?!」
女性B「そういう事になるかもしれませんね(笑)」
 
お話を聞いた後に周りを見ると男性は私一人
お客は私以外は全員女性客です。
コーヒーに1000円出せるのも女性。
コーヒーにテーマパークのような体験価値を求めるのも女性。
男性以上に女性は「体験価値」にお金を使う生き物だと言うことがよく分かった体験価値ハンティングでした。