いつも読んでいただいてありがとうございます。
昨年末から美容室の100件行脚を行っています。
行脚とはお店に足を運び取材を重ねる事です。
コロナの影響で美容室業界も大きく変わらなければならない局面に 来ている事はお店を回ると手に取るようにわかります。
今日はその中から見えてきた美容室の時流について書き留めておき たいと思います。
1.さらなる専門店化へ
もともと美容室業界は成熟化が進んでいましたが、 このコロナでそれがさらに加速したように見えます。
その現象がうかがえるのは、美容室の業績の二極化現象です。
今、業績の良いサロンはメニューを専門特化させています。
そしてその特化したメニューを磨き切り、 その地域で一番の位置を確立しているところです。
地域の中でカットならあそこ。
カラーならあそこ。
と言う風に地域の方からきちんと認知されているサロンはこのコロナ禍でも業績を落とすことなく営業しています。
それに対して業績の悪いサロンはオーナーが個人的趣味でやりたい事をとにかく 詰め込んだメニューに見えます。
いわゆる何屋さんか分からないメニューの打ち出しなのです。
現在、 なんとなく通りすがりにサロンに入る人は少なくなりました。
ですからこれからはお客様がわざわざ狙って足を運んでもらえるメ ニューの専門特化が必要となるのです。
2.地方ではトータルビューティの波が
先に書いた事と真逆なことに見えるでしょうが、 メニューの専門特化が進むと同時に、 地方都市ではトータルビューティ化が進みます。
コロナの影響もあり美容室のナショナルチェーンの出店が頭打ちと なります。
その恩恵もあり、 特に行政人口50万人を切る都市ではその地場のローカルチェーン が今後勢いをつけてくることでしょう。
ローカルチェーンは得意な地域で客の多様なニーズに合わせて専門 特化させたサロンを展開させ、ドミナントを形成して行きます。
その展開はヘアーのサービスだけにとどまらずにマツエクやネイル やエステなどにも及んで行きます。
また、衣装や写真を取り込んで、 成人式や婚礼の市場にも参入する事になるでしょう。
地方都市のサロン経営は、 一人の顧客が生涯を通じて利用できるトータルビューティ事業へ大 きく変化して行く事でしょう。
3.どこで切るか?から誰が切るか?へ
今までのお客様のサロン選びの基準はサロンのきれいさや看板力だ ったと言えます。
しかしコロナ禍の今、 お客はわざわざ遠い有名なお店に行きたいとは思わなくなりました 。
これからのサロン選びの基準はより近く、 より自分のことを知っている親身な対応が出来るサロンを選びたが っているようです。
ですから、 益々スタイリストの質がサロン経営には重要になるとも言えます。
スタイリストの質は技術だけではありません。
一番求められるのは客に寄り添うサービス精神なのかもしれません 。
サロン経営では、 技術指導と同時に理念の教育にも力を入れて行くことが望ましいで す。
髪はどこで切るかではなく、だれが切るかが大切なのです。
4.新規依存からお得意様営業へ!
現状、 勝ち組サロンはホットペッパービューティを利用されています。
これはこれで新しいお客を作る上では素晴らしいノウハウかと思い ます。
しかし、その戦略は大きく曲がり角に来ているようです。
先に書きましたが、お客の志向がどこで切るかではなく、 だれが切るかに変わっています。
お客はホットペッパービューティやInstagramなどを利用 して、効率よくサロンを探していますが、 実はお客はサロンを探しているのではなく、 その先にある自分を理解してくれるスタイリストを探しているので す。
ですから今後のサロン経営はお得意様化をが進めた方が良いようで す。
これからのサロンはお客様に対して個々に担当制を引き、 その担当者がお客様と次回来店予約を取るためのメニュー開発が求 められます。
SNSを通じて担当スタイリストとお客様が常時つながっている状 態も当たり前になるでしょう。
そうやっていお得意様に育てると言うわけです。
また、トータルビューティ化を進める事業者の場合、 この担当スタイリストが営業マンとなりお得意様のニーズを引き出 し、 系列店をご紹介する役目も今後重要な集客ソースとなるでしょう。
一人のお得意様が会社全体の事業を利用いただき、 生涯にわたって長いお付き合いをするのです。
スタイリストにはサロン技術だけでなく営業力も求められる時代に 来たのです。
5.働き方の自由度が上がる
多くのサロンではスタイリストの定着に苦慮しているようです。
しかしそれでも完全に離職を止める事は難しいようです。
この離職を完全に止めるためには働き方の自由度を上げる事が必要 なのです。
サロンを辞める理由は大きく分けて二つです。
①働き方が合わない
②独立したい
①働き方が合わない
結婚や出産を機に辞めたい。
体力的に身体的に厳しさについて行けない。
休みに別にやりたい事がある。
これらは最近辞めたスタイリストの退職理由の一例です。
まあ、一昔前なら「美容師に向いていない」 と言う言葉で片づけられたのでしょうが、 これからますますこのような価値観の人は増えます。
ですからこれからの人材戦略としてはこのような方々も取り込むこ とが大切なのです。
「働き方が自由に選べる」そんな新たな業種(マツエク専門店) や業態(カラー専門店) のブランドのサロンを立ち上げる事が必要です。
そして「働く時間が選べる」 と業務委託の働き方も前向きな意味での受け入れましょう。
②独立したい
店長候補として見込んでいた人が辞める。良くある話です。
中には野心があってサロン事業で独立したい! そんな思いで辞める人はいるでしょう。
しかし多く優秀なスタイリストは店長になりハサミを置く事を求 められるのが嫌で辞めるようです。
前者の野心のある独立志願者に対して、今美容室業界で「 フランチャイズ」として独立を後押しする機運が高まっています。
また、 後者のハサミを置く事をためらう優秀なスタイリストに対しては会社で立ち上 げた「シェアサロン」 を利用して独立を後押しする機運が高まっています。
このように、 益々働き方の自由度を上げる事が事業者には求められます。