ひとは仕事を通して感謝される体験が大好き(1)

いつも読んでいただきありがとうございます。

今年に入ってから「体験価値」をキーワードにコラムを書いています。
 
この春も就活シーズンとなり、採用に関する相談を受けます。
最近採用の現場で感じるのは、この採用と言うジャンルでも体験価値」を意識しないといけないと言う事です。
 
採用における体験価値とは一言で言って…
「仕事を通して感謝される体験」のことです。
最近、多くの学生のヒアリングから聞こえてくるのが…
「ひとに感謝される仕事に就きたい」ということです。
特に優秀な学生ほどそれを口にします。
ですから若者が就活の際、会社や仕事を選ぶ基準にこの会社や仕事はひとに感謝される会社や仕事なのかどうか?」を見ているようです。
 
ただにとってはとにかく安心できる会社を選ぶことをゴールとして自分の子供(学生)に向き合います。
ですから「有名企業」や「安定企業」や「優良企業」と言うレッテルで判断するよう、子供(学生)にアドバイスをするものです。
最近の若者は素直ですからそのアドバイスに従う傾向が強いです。
しかし実際に努力して「有名企業」に入社してみたけれど、思ったよりひとに感謝される仕事ではなかった」という理由で辞める人が多いのが現実です。
せっかく努力して入社した難関企業でも、今の若者は仕事を通して先輩やお客様から「感謝」される体験ができないと惜しげもなくさっさと辞めてしまうのです
 
実際に最近の若者が会社を辞める理由は、期待したほど感謝される会社(仕事)ではなかった」という理由が増えています。
ですから企業は会社を良く見せる工夫より、本質的な仕事の価値を上げることや、仕事を通じて「感謝体験」が強く得られる会社の風土づくりをして行く事が求められているようです。
 
ひとは仕事を通して感謝される体験に飢えている(2)
に続きます。
 
<無料経営相談キャンペーン>
本日25日(月)から31日(日)まで無料経営相談を受け付けます。
きもの、写真、美容、多様なジャンルに対応致します。
お気軽にお申し込みください。
お申し込みは以下のメールにて受け付けます。
masayoshi_tasaki@funaisoken.co.jp
 

 

写真の価格は「撮影時間」の体験価値で決まる

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
今年に入ってから「体験価値」について書き続けています。
コンサル先の経営者の多くはこのコラムの熱心な読者でもあるので打ち合わせの中でも「体験価値」の質問が出ます。
先日も写真館での打ち合わせで話題に出たのですが、写真館にとっての「体験価値」について質問されました。
 
当然のように写真の価値は写真自体の完成度だと思います。
プロのカメラマンに撮影してもらったアルバムに製本された写真は一生の宝物として大切に保管され、その「所有価値」はある意味揺るがないのかと思います。
ですから当然写真館経営者は一生懸命写真の技術を磨く事を大切にしています。
 
しかしこの20年来の写真館業界の大きな動きは、子供写真館で始まった衣装や美容などが一元サービスされると言う、より消費者が写真館を簡単に利用しやすくする流れでした。
そして次第に出来上がった写真よりも、衣装や美容などの写真館を利用しやすくするサービスの良し悪しがお客様にとってはお店を決める大切な要素となったのです。
写真館もこの20年は「利用価値」の時代だったと言えます。
 
そしてこれから10年は「利用価値」+「体験価値」の時代が来るでしょう。
写真館にとっての「体験価値」とは「撮影時間」のことです。
この「撮影時間」の品質がお客様にとってお店を決める要素になる事でしょう。
なぜならインターネット上の写真館のレビュー(感想)を調査すると、現在は7割以上のレビューの内容が「撮影時間」に対するものなのです。
写真館を褒めるレビューは「楽しくモデル気分で撮影できた」というコメントですし、逆にお叱りの言葉は何かの理由があったのでしょう、「お支度や撮影で気分が悪い思いをした」と言うコメントなのです。
お客様にとっては写真館に出向くのは記念写真を撮りたいと言う目的と同時に、生まれて初めての「撮影体験」でもあるわけです。
特に女性は「モデル願望」は少なくともあるでしょうから、この撮影体験の時間に対して強い思い入れを持つ人は多いものです。
女性は自分が「一流モデル」のごとく扱われ、この「撮影体験」が感動に値するものか、残念なものになるかとても重要なことなのです。
それが例え「子供」であろうとも。
ですから今後は「撮影体験」をより価値の高いものにして行く事が写真館の勝ち方になるのでしょう。
写真の価格は「撮影時間」の体験価値で決まるのかもしれません。
 

コーヒーの価格は「体験価値」で決まる

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この土曜日も「体験価値ハンティング」を京都で行いました。
 
先週の土曜日のハンティングのテーマはコーヒーの価格は何で決まるのか?」という事になります。
まあ、タイトルに「体験価値で決まる」と書いてあるので、答えはそういう事なのですが、改めて「値付け」の奥深さに触れるハンティングとなりました。
 
お邪魔したのは京都の七条河原町に位置するKaikado Cafeです。
 

 
以前からその建物のすばらしさが目立っていて、通りがかりに気にはなっていたのですが、お邪魔するのは初めてとなります。
 
店内は若者でいっぱい。
満席でしたので10分ほど外で待っての入店でした。
 
席について早速メニューを眺めてぎょっとしました。
コーヒーの価格が1100円(税込み)なのです
ホテルのラウンジのコーヒーが1000円と言うのはよくあることです。
まあホテルの場合は「場所代」としてその価格設定と言うのは分かるのですが、京都のカフェで提供されるコーヒーの価格ではここは断トツの強気の価格設定す。
 
豆から抽出したコーヒーは
コンビニで120円
スタバなどの座れるカフェで350円前後
ハンドドリップで丁寧に淹れてくれる喫茶店で500円前後
これらがコーヒーの価格相場かと思います。
 
このお店もハンドドリップで手間をかけて淹れてくれるので、本来ならそれでも500円前後が妥当な値付けかと思います。
しかし倍以上の1100円の強気な値付けでも若者で満席の人気店である事には本当に驚きました。
その秘密は何なのでしょうか?
 
隣でくつろいでいる若い女性の二人組に野暮かとは思いましたが話を聞いてみる事にしました。
私「なんでここのお店を選んだんですか?」
女性A「コーヒーが美味しいと聞いたので…」
私「コーヒーが美味しい専門店は京都にたくさんあるでしょうが、なぜここを選んだのですか?」
女性A「純喫茶めぐりが趣味で、ここの建物が素敵で一度来てみたかったので連れてきてもらったんです」
私「隣の方もそうなんですか?」
女性B「私は何度か来ているのですが、ここで過ごす非日常的な時間が本当に好きなんです」
私「正直、コーヒーが1000円て高くないですか?(笑)」
女性B「少し高いですが、週末にたったの1000円で気分転換できるならば、テーマパークに行くより手軽で安いかなと…」
私「テーマパークとここは利用目的が同じなんですか?!」
女性B「そういう事になるかもしれませんね(笑)」
 
お話を聞いた後に周りを見ると男性は私一人
お客は私以外は全員女性客です。
コーヒーに1000円出せるのも女性。
コーヒーにテーマパークのような体験価値を求めるのも女性。
男性以上に女性は「体験価値」にお金を使う生き物だと言うことがよく分かった体験価値ハンティングでした。

イマーシブフォートOPENで加速する消費者の 「体験価値」志向

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
東京お台場のビーナスフォートの跡地に「イマーシブフォート」がオープンしましたね。
 
「完全没入体験型テーマパーク」だそうです。
 
ちょうど3月1日(金)のガイアの夜明けでもその準備風景を見る事が出来ました。
お見逃しの方はこちらから見れると思います。
 
このテーマパークを手掛けていらっしゃるのが、以前船井総研でもご講演いただきました敏腕マーケッターの森岡毅さん率いる「刀」です。
番組で印象的だったのが「刀」のテーマパークプロデューサーが使っていた「体験価値の創造」と言うキーワードでした。
「刀」はこれからの消費者は「体験価値」にこそお金を使うと読んでいるようです。
今年、私がこだわって使っているキーワードも「体験価値」ですから、想いは同じでとても共感しました。
 
ただ「刀」はテーマパークの開発が生業ですから「体験」を深堀する事は至って自然な流れだったことでしょう。
しかし私の関わる流通小売業やサービス業にあてはめた時にはどうでしょう。
「体験価値」をどんなふうにその事業に生かしたらよいかはまだ未開発な部分が多いです。
ですから小売業やサービス業にとって「体験価値」と言うフィールドはまだライバルのいないブルーオーシャンの市場とも言えるのかもしれません。
「体験価値を創造するビジネス」に一番乗りしたいところです。

「きものアクティビティ」で着物業界は再生する

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この数回「体験価値」について書いています。
昭和は物を持つことに価値を見出す「所有価値」時代。
平成は物を持つのではなく、利用することに価値を見出す「利用価値」時代。
そして令和は利用する事にプラスして、体験する事に価値を見出す「体験価値」時代と言うお話を書いています。
 
目的を持って物を「利用」すること。
それは合理的ではありますが、「楽しいか?」と聞かれたらそうではありません。
例えば車です。
車を移動手段として「利用」している人にとっては、車には「楽しさ」を求めないことでしょう。
しかし車に楽しさを求める人にとってはやはり「所有」したいと思いますし、それ以上にその車を使ってどんな非日常の「体験」をするかを想像しながらワクワクできるものです。
 
私が関わっている業界の「きもの」と言う商品も車と同様に、お式事できものを「利用」される方はきものに「楽しさ」は求めていないでしょう
「楽しさ」どころか逆に「利用」を目的としたきものには窮屈で疲れたと言うイメージが先行するものです。
 
しかし趣味としてきものを「所有」したいと思って、きものを買い求める女性にとってはきものに「楽しさ」を期待しているでしょう。
きものに袖を通してどこに出かけようかとか、どんな新しい「体験」が待っているかとかを考えてワクワクするものです。
きものを着て「体験」する事はどんなことでも新鮮に見えて感動できるのです。
「体験」は英語で「アクティビティ」と言いますので、私はきものを着ていろいろな「体験」をして楽しむことを「きものアクティビティ」と名付ける事にしました。
 
先日、私がお手伝いさせていただいてるきもの専門店でも、きものを着てカジノ体験をする「きものアクティビティ」の試みをされていてニュースになりました。
 
神戸新聞より>
 
衰退産業のきもの業界が復活するためにも業界全体がきものに体験価値を付加させる「きものアクティビティ」の取り組みをどんどん進めていただけたらと思います。
当然、世界からの観光客もこの「きものアクティビティ」を楽しみにどんどん日本に来ることでしょう!
 

 

外国人は「日本文化アクティビティ(体験)」がお好き

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この二回ほど「体験価値」について書いています。
とても反響がありましたので、このキーワードは皆様に刺さったとみて良いのでしょう。
昨日も「体験価値」のハンティングに出かけて来たので書いてみたいと思います。
 
今日は京都に「体験価値ハンティング」に出かけました。
まあ私は京都に住んでいますのでいつでも京都の街に出かける事は出来るのですが、外国人観光客が増えていますのでなかなか普段は人込みに向かって行く気力が出ません。
しかし今回は「体験価値ハンティング」と言い聞かせて人ごみに向かっていきました。
 
街に出るとすっかりコロナ前の光景ですね。
春節もあって中国人観光客も増えています。
街には沢山のきもの姿の外国人が。
きものを着て思い思いに日本を楽しんでいる姿は、きものに関わる仕事をしているものからすると嬉しい光景です。
 
コロナ前までは、中国人の「爆買い」が話題になっていましたが、買い物を目的に日本に来る中国人は落ち着ているようですね。
家電量販店やドラッグストアに目立った外国人の人だかりはありませんでした。
今の外国人の目的のメインは「買い物」から「日本文化を体験する」ということに変化しているようです。
 
コロナ前からあったのが、きものレンタルや舞子変身などのきもの体験ですが、街を歩くと面白い日本文化を体験できるアクティビティが沢山ありました。
 
<忍者体験>
忍者の衣装を着て忍者修業を体験します。
 
<侍体験>
武士の衣装を着て刀の使い方を体験します。
 
<茶道体験>
きものを着て茶道を体験します。
 
これらを見させていただいて驚くのが強気な価格設定ですね。
1時間で2万円くらいの料金設定かと思います。
円安と外国のインフレを考えると、外国人にしてみると8,000円くらいの感覚なのでしょう。
それほど高くはないアクティビティなのだと思います。
 
今後、もっと多様な日本文化アクティビティ(体験)が誕生していく気がします。
私のライフワークが「日本の文化を世界に発信する」ですから、このアクティビティの開発ができたらと思います。
 

 

美味しさより非日常体験が欲しい(2)

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
前回の緩いコラムが好評でしたので、第二弾と言う感じで書きます。
昨日は祝日でお休みでしたので、久しぶりに大阪にぶらりと出かける事にしました。
目的は「体験価値」の発見です。
 
「体験価値」ってなに?と言う方のために簡単に説明をしておきます。
 
消費者の購買目的は昭和時代が「所有価値」と言われていました。
そして昭和の後期から平成時代にかけて消費者の購買目的が「所有価値」から「利用価値」に変わったと言われました。
いわゆる必要なときにだけ物は借りて利用すればいいと考えるようになりましたし、必要なときに人手を借りて代わりにやってもらえばいいと合理的に考えるようになって、そこにお金を好んで使うようになりました。
 
そして令和になって人の購買目的は「体験価値」に進化をしています。
見てみたい、行ってみたい、食べてみたい、会ってみたい、聞いてみたい、話してみたい、身に着けてみたい、習ってみたい、そんな消費者の「体験欲求」が次第に強くなっている気がします。
このような今まで体験した事のない非日常を感じられるものごとにこそ人が集まってお金を好んで使うようになるようです
 
前置きが長くなってしまいましたが、「体験価値」を発見するために大阪で降り立ったのは京橋でした。
祝日の京橋は人でごった返していました。
外国人観光客も多かったのですが、日本人の若者が多かったです。
京橋と言えば昔は「おやじの街」でしたが、最近は若者を集める店も多くできているからでしょう。
 
そして若者が集まるスポットを探しているとありました!
ここです。


京橋でも有名な立ち飲み屋ストリートです。
この通りには立ち飲み屋だけが10件以上も軒を連ねています。
お店を覗くと午後2時にもかかわらずどの店も満員です。
しかも客はおやじではなく若者が半数以上です。
 
何とか頼んで入れるお店を見つけて入ってみる事にしました。
そのお店もお客の半数以上が若者でした。
早速お話しを数人から聞いてみました。
「なんで立ち飲み屋なの?節約?」
若者A「まあ安いのは確かですけど、この昭和のムードが好きなんです」
若者B「見ず知らずの隣の人と気軽に話せるのが普通のお店ではないですよね」
若者C「インスタで見た名物女将に会いたくて来ました」
若者D「僕らの中ではUSJに次ぐ盛り上がれるデートスポットなんですよ(笑)」
私「もしかするとみんなここを飲食店ではなく、テーマパークと思ってる?(笑)」
 
体験価値を求めて立ち飲み屋に集まる若者
おやじが独り酒を飲む立ち飲み屋も、若者にとっては非日常体験が出来るテーマパークなんだそうです。
勉強になりました(笑)