<3>なぜあの呉服屋は100年も続く事が出来ているのか?「非常時と不況期の持続的経営戦略」

8回シリーズでコラムを書いています。

<3>なぜあの呉服屋は100年も続く事が出来ているのか?「非常時と不況期の持続的経営戦略」

<100年企業が実践する5つの持続的成長戦略>

実は100年企業には持続的経営のための5つのノウハウがあります。
そのノウハウの一番大切な事は「日本経済や取り扱い商品の成長期と衰退期のそれぞれのタイミングで事業戦略をシフトする事が出来る」と言うものです。


100年企業は好景気や成長期の時には攻めの戦略を走らせながらも、実は水面下ではいつ不景気や衰退期になっても変化対応できる準備がされているのです。
ここにその5つのノウハウをご紹介しましょう。

 

<物を売らずに価値を売れ!>
まずひとつめのノウハウです。
100年企業は好景気や市場成長期には「物」を売ります。
そして不景気や衰退期には「価値」を売る事に事業をシフトします。

新しい商品やサービスが誕生した時に、人はわれ先に商品自体やサービス自体を手に入れようとします。
市場の成長期や好景気には物やサービスが売れると言う状況は単純にそう言う事です。
ところが商品やサービスを提供するお店が世の中に行き渡って来ると、ご存じの通り売れなくなるわけです。
そこで多くの経営者は価格を安くすると言う経営判断をします。
しかし100年企業の経営者はそうではありません。

 

その商品やサービスを安く売るのではなく、「価値」を付けて高く売るのです。
これは一般的には「付加価値」と呼ばれています。
「価値を付ける」とは身近なところではデザインを良くするとか、有名にするとか、歴史や高級感を感じさせるとかになるでしょう。
これにより経営的には他店との違いが出せ、粗利が抜群に良くなる事はプロ経営者ならわかるでしょう。
この戦略が間違っていなければ、次第にお客様はこれらの商品やサービスを「付加価値の高い商品」と言ってもてはやすようになります。

 

そして100年企業の歴史の中で明らかなのは、この「価値の高い商品」を求めるマニア客はいつの時代も一定数存在し、どんな非常事態でもそのマニア客は消費を止めないと言う事。
その価値を勇気と哲学をもって尖らせた企業に、そのマニアが群がって長く栄え続けると言う歴史があると言う事が言えます。
呉服店がまさにそれです。
きものと言う誰も街では着ていない衰退商品ではありますが、決して無くなる事のない価値の分かるきもの愛好者をターゲットに高い価値を追求しながら営業し続けています。
それが100年企業の一つ目の要素となっています。

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