<8>なぜあの呉服屋は100年も続く事が出来ているのか?「非常時と不況期の持続的経営戦略」

<8>なぜあの呉服屋は100年も続く事が出来ているのか?「非常時と不況期の持続的経営戦略」

 

8回シリーズでコラムを書いています。
今回が最終回です。

 

100年企業には特別な5つのノウハウがありました。

<100年企業が実践する5つの持続的成長戦略>
1.物を売らずに価値を売る
2.個別対応する
3.在庫を持たない
4.家賃を払わない
5.人を雇わない

この非常時にぜひ実践していきたいものです。

 

<実は一番大きなリスクは景気ではなく事業承継だった>

最後になりますが、100年企業にも弱点があります。
いえ、これは100年企業だけでなく、すべての企業の持続的経営の最大のリスクと言えます。
それは「事業承継」です。


100年企業を調べて分かったことは、どの企業も事業承継を計画的に行い、そして事業承継を事業の一番大切な事としてど真ん中において会社経営をしていると言う事です。

最近の倒産や廃業して行く企業(個人事業主以外)を調べてみると、景気の影響や非常事態で倒産して行く割合は意外にも少ない事が分かります。
企業倒産や廃業は景気の影響ではなく、ほとんどは後継ぎの不在か後継ぎ経営者の未熟さから招かれた業績不振のどちらかで会社を倒産または廃業させてしまっているようです。

 

多くの経営者はがむしゃらに事業をやっていますから、普段は事業承継の事は頭の隅に追いやっている事でしょう。
そして気が付いたら事業承継を迫られる年齢になり、後ろを見るとそこには後継ぎとして適任な人材がいない。
息子や企業の番頭クラスを無理に説得して後を継がせたとしても既に事業は成熟してうま味が無くなっている事が多く、いきなり後を継がされた経営者として未熟な息子はそんな厳しい会社のかじ取りをいきなりする事になるのです。
これだから事業は長くは続かないのです。

 

100年企業コンサルタントの僕が最近注目され、後継ぎのご子息や幹部の教育や次の事業モデル更新のための戦略参謀としての参画依頼が多いのもこんな事業承継のリスクが重たい時代背景からなのでしょう。
現代は良い大学に行くためには、良い学習塾に行く事が必須となっています。
これと同様に、もしご子息さんや番頭さんに会社経営を託すなら質の高い専門の教育環境を与えたり、次の時代への事業更新のための戦略参謀を迎え入れたりしなければいけない時代なのです。

 

ただし現代はそうまでして事業を継いでもらおうと思う経営者も確実に少なくなって来ているようです。
確かに今は事業売却と言う合理的な選択肢もありますから無理に事業承継を準備しなくても良いのでしょう。
しかしそれがある故に益々経営者の持続的経営の志が希薄になり、これからはより一層短命な企業が増えて行く気がします。

 

100年企業にも着実にこのリスクが忍び寄っているのです。

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