社長は偉い人がなるわけではない(1)

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
私は伝統産業などのビジネスのコンサルティングをしている事から、比較的歴史の長い企業とのお付き合いが多いです。
 
頻繁にと言えるでしょうが、事業承継の相談も多く、特に後継者の相談は本当に多いです。
そして私の関わっている企業様の多くが中小家業の規模ですので、後継者はご子息様であることが多いです。
 
それらの企業から多く相談されるのが、
「いつ、息子を社長にしたらいいんでしょう?」
と言うものです。
 
私の回答はシンプルで
「出来る限り早く社長にした方が良い」
と必ず答えます。
しかし多くの経営者は「そんなに早く社長にしてしまっていいものなのか?」と悩むようです。
 
「そんなに早く偉い立場にさせていいのか?」
「どこかの修業に出した方が良いのでは?」
「一般社員と同様に下積み経験を何年もさせて、現場でたたき上げた方が良いのでは?」
などの質問もされますが、私の答えは
「それらは会社の成長のためには何の効果もありません」
と、至ってシンプルです。
 
<修業では間に合わない>
ビジネスに求められるスピードは年々上がっています。
息子さんを5年間修業に出して、5年間社内で下積みをする。
もしそんな10年間を過ごしてたら気がついたら世の中は劇的に変化しています。
この変化のスピードに立ち向かうためには人材の役割ごとに「専門特化」させて行く事が大切なのです。
この考え方はお店の中の店長の立場の変化にも色濃く表れています。
 
<「店長」は「役職名」ではなく「役割名」>
例えば私の支援先の呉服店様では、新入社員は2つの専門特化したコースを早い段階から選ばせます。
ひとつが「きものスタイリストコース」
そしてもう一つが「店長コース」です。
以前の呉服店の発想なら、新入社員は先輩の見習いを5年ほどやって、初めて店頭で販売員として立たせてもらい、一人前になるのに10年の歳月を要し、その中で成績の良いものが店長に抜擢される。
このような感じでキャリアを積んでいくのが常識でした。
しかし、現代の店長は専門性の高い役割になっています。
販売員経験を10年以上やった後に店長の仕事を覚えてもらうのには間に合わないのです。
早い時期から店長の仕事を教えて、そして20代で店長の立場を与えて、きものスタイリストをサポートする事に特化した役割を育てていかないと時代に取り残されてしまうようです。
「店長」は役職として「偉い」という考え方は意味がなくなりました。
「店長」はあくまで組織の中の「役割」のひとつとして考えなければならないのです。
 
次回へつづく
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