イマーシブフォートOPENで加速する消費者の 「体験価値」志向

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
東京お台場のビーナスフォートの跡地に「イマーシブフォート」がオープンしましたね。
 
「完全没入体験型テーマパーク」だそうです。
 
ちょうど3月1日(金)のガイアの夜明けでもその準備風景を見る事が出来ました。
お見逃しの方はこちらから見れると思います。
 
このテーマパークを手掛けていらっしゃるのが、以前船井総研でもご講演いただきました敏腕マーケッターの森岡毅さん率いる「刀」です。
番組で印象的だったのが「刀」のテーマパークプロデューサーが使っていた「体験価値の創造」と言うキーワードでした。
「刀」はこれからの消費者は「体験価値」にこそお金を使うと読んでいるようです。
今年、私がこだわって使っているキーワードも「体験価値」ですから、想いは同じでとても共感しました。
 
ただ「刀」はテーマパークの開発が生業ですから「体験」を深堀する事は至って自然な流れだったことでしょう。
しかし私の関わる流通小売業やサービス業にあてはめた時にはどうでしょう。
「体験価値」をどんなふうにその事業に生かしたらよいかはまだ未開発な部分が多いです。
ですから小売業やサービス業にとって「体験価値」と言うフィールドはまだライバルのいないブルーオーシャンの市場とも言えるのかもしれません。
「体験価値を創造するビジネス」に一番乗りしたいところです。

「きものアクティビティ」で着物業界は再生する

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この数回「体験価値」について書いています。
昭和は物を持つことに価値を見出す「所有価値」時代。
平成は物を持つのではなく、利用することに価値を見出す「利用価値」時代。
そして令和は利用する事にプラスして、体験する事に価値を見出す「体験価値」時代と言うお話を書いています。
 
目的を持って物を「利用」すること。
それは合理的ではありますが、「楽しいか?」と聞かれたらそうではありません。
例えば車です。
車を移動手段として「利用」している人にとっては、車には「楽しさ」を求めないことでしょう。
しかし車に楽しさを求める人にとってはやはり「所有」したいと思いますし、それ以上にその車を使ってどんな非日常の「体験」をするかを想像しながらワクワクできるものです。
 
私が関わっている業界の「きもの」と言う商品も車と同様に、お式事できものを「利用」される方はきものに「楽しさ」は求めていないでしょう
「楽しさ」どころか逆に「利用」を目的としたきものには窮屈で疲れたと言うイメージが先行するものです。
 
しかし趣味としてきものを「所有」したいと思って、きものを買い求める女性にとってはきものに「楽しさ」を期待しているでしょう。
きものに袖を通してどこに出かけようかとか、どんな新しい「体験」が待っているかとかを考えてワクワクするものです。
きものを着て「体験」する事はどんなことでも新鮮に見えて感動できるのです。
「体験」は英語で「アクティビティ」と言いますので、私はきものを着ていろいろな「体験」をして楽しむことを「きものアクティビティ」と名付ける事にしました。
 
先日、私がお手伝いさせていただいてるきもの専門店でも、きものを着てカジノ体験をする「きものアクティビティ」の試みをされていてニュースになりました。
 
神戸新聞より>
 
衰退産業のきもの業界が復活するためにも業界全体がきものに体験価値を付加させる「きものアクティビティ」の取り組みをどんどん進めていただけたらと思います。
当然、世界からの観光客もこの「きものアクティビティ」を楽しみにどんどん日本に来ることでしょう!
 

 

外国人は「日本文化アクティビティ(体験)」がお好き

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
この二回ほど「体験価値」について書いています。
とても反響がありましたので、このキーワードは皆様に刺さったとみて良いのでしょう。
昨日も「体験価値」のハンティングに出かけて来たので書いてみたいと思います。
 
今日は京都に「体験価値ハンティング」に出かけました。
まあ私は京都に住んでいますのでいつでも京都の街に出かける事は出来るのですが、外国人観光客が増えていますのでなかなか普段は人込みに向かって行く気力が出ません。
しかし今回は「体験価値ハンティング」と言い聞かせて人ごみに向かっていきました。
 
街に出るとすっかりコロナ前の光景ですね。
春節もあって中国人観光客も増えています。
街には沢山のきもの姿の外国人が。
きものを着て思い思いに日本を楽しんでいる姿は、きものに関わる仕事をしているものからすると嬉しい光景です。
 
コロナ前までは、中国人の「爆買い」が話題になっていましたが、買い物を目的に日本に来る中国人は落ち着ているようですね。
家電量販店やドラッグストアに目立った外国人の人だかりはありませんでした。
今の外国人の目的のメインは「買い物」から「日本文化を体験する」ということに変化しているようです。
 
コロナ前からあったのが、きものレンタルや舞子変身などのきもの体験ですが、街を歩くと面白い日本文化を体験できるアクティビティが沢山ありました。
 
<忍者体験>
忍者の衣装を着て忍者修業を体験します。
 
<侍体験>
武士の衣装を着て刀の使い方を体験します。
 
<茶道体験>
きものを着て茶道を体験します。
 
これらを見させていただいて驚くのが強気な価格設定ですね。
1時間で2万円くらいの料金設定かと思います。
円安と外国のインフレを考えると、外国人にしてみると8,000円くらいの感覚なのでしょう。
それほど高くはないアクティビティなのだと思います。
 
今後、もっと多様な日本文化アクティビティ(体験)が誕生していく気がします。
私のライフワークが「日本の文化を世界に発信する」ですから、このアクティビティの開発ができたらと思います。
 

 

美味しさより非日常体験が欲しい(2)

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
前回の緩いコラムが好評でしたので、第二弾と言う感じで書きます。
昨日は祝日でお休みでしたので、久しぶりに大阪にぶらりと出かける事にしました。
目的は「体験価値」の発見です。
 
「体験価値」ってなに?と言う方のために簡単に説明をしておきます。
 
消費者の購買目的は昭和時代が「所有価値」と言われていました。
そして昭和の後期から平成時代にかけて消費者の購買目的が「所有価値」から「利用価値」に変わったと言われました。
いわゆる必要なときにだけ物は借りて利用すればいいと考えるようになりましたし、必要なときに人手を借りて代わりにやってもらえばいいと合理的に考えるようになって、そこにお金を好んで使うようになりました。
 
そして令和になって人の購買目的は「体験価値」に進化をしています。
見てみたい、行ってみたい、食べてみたい、会ってみたい、聞いてみたい、話してみたい、身に着けてみたい、習ってみたい、そんな消費者の「体験欲求」が次第に強くなっている気がします。
このような今まで体験した事のない非日常を感じられるものごとにこそ人が集まってお金を好んで使うようになるようです
 
前置きが長くなってしまいましたが、「体験価値」を発見するために大阪で降り立ったのは京橋でした。
祝日の京橋は人でごった返していました。
外国人観光客も多かったのですが、日本人の若者が多かったです。
京橋と言えば昔は「おやじの街」でしたが、最近は若者を集める店も多くできているからでしょう。
 
そして若者が集まるスポットを探しているとありました!
ここです。


京橋でも有名な立ち飲み屋ストリートです。
この通りには立ち飲み屋だけが10件以上も軒を連ねています。
お店を覗くと午後2時にもかかわらずどの店も満員です。
しかも客はおやじではなく若者が半数以上です。
 
何とか頼んで入れるお店を見つけて入ってみる事にしました。
そのお店もお客の半数以上が若者でした。
早速お話しを数人から聞いてみました。
「なんで立ち飲み屋なの?節約?」
若者A「まあ安いのは確かですけど、この昭和のムードが好きなんです」
若者B「見ず知らずの隣の人と気軽に話せるのが普通のお店ではないですよね」
若者C「インスタで見た名物女将に会いたくて来ました」
若者D「僕らの中ではUSJに次ぐ盛り上がれるデートスポットなんですよ(笑)」
私「もしかするとみんなここを飲食店ではなく、テーマパークと思ってる?(笑)」
 
体験価値を求めて立ち飲み屋に集まる若者
おやじが独り酒を飲む立ち飲み屋も、若者にとっては非日常体験が出来るテーマパークなんだそうです。
勉強になりました(笑)

美味しさより非日常体験が欲しい

いつも読んでいただきありがとうございます。

 
いつもロジックな話が多いのですが、実は本当は街を歩いて感じた雑記のような書き物の方が性に合っています。
 
先日京都駅の中の店を見て歩きました。
まあ京都に住んでいるので京都駅は利用するのですが、まじまじとお店などを見て歩く事はそんなにはしませんので新鮮でした。
 
久しぶりにお店を見て歩くと人の流れは圧倒的に飲食店の方に足が向いています。
その中でも特に繁盛していたのが意外なことに2軒ある「大衆居酒屋」でした。

同じ通りには天ぷらや串カツや海鮮丼などの美味しさを単品で追求した専門店があるのに、そこの客入り以上に何の変哲もない「大衆居酒屋」がにぎわっていたのです。
 
大衆居酒屋と言えば僕のようなおやじが行くところと相場は決まっています。
しかしお客様は20代の若者のカップが多いですね。
おやじの聖地のような大衆居酒屋のはずなのに、なぜか少し恥ずかしい気持ちでお店に入ってみました。
 
大衆居酒屋では僕は基本カウンターが好きです。
見ず知らずの隣の人にお話を聴くのが好きだからです。
カウンターに陣取ってとりあえずビールを頼みました。
メニューを見ると珍しいものは特になく、まあ僕がいつもよく行く大衆居酒屋と大差ありません。
 
早速カウンターの隣に座った若者二人組に声をかけました。
私「ここよく来るの?」
隣の客「いえ、初めてです」
私「いろいろ専門店が並んでいておいしそうなお店があるけど、なんでこの店なの?
隣の客「なんかムードが良さそうだったので」
私「ムードがいい?大衆居酒屋だから僕らおやじの聖地みたいな店だけどね(笑)」
隣の客「エモい?っていうか、なんか懐かしい感じがテーマパークっぽかったので」
もう一人の客「そうそう、店を選ぶ基準は見たり体験したり食べたことが無いメニューのお店を選びたいです」
私「美味しい物を食べに来てると言うより、普段は体験できないことを体験しに来てる感じ?」
隣の客「そうかもしれませんね(笑)」
 
まあ、プロの飲食店事業者はいまどき不味い物を出すお店は無いです。
お客様にも周知のことです。
ですからお客様の飲食店を選ぶ基準は美味しさの次の価値である「体験価値」に進んでいるのですね。
良い商品を提供しさえすればお客様は来る。
良いサービスを提供しさえすればお客様は来る。
その神話はもう昔の話のようです。
商品やサービスに「体験価値」を付加できないとお客様は離れて行くのですね。
大衆居酒屋から学んだマーケティングでした。
 
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20歳で稼ぐのが当たり前の美容業界を創る(2)

いつも読んでいただきありがとうございます。

二回シリーズで美容業界の課題解決について書いています。
 
前回は
美容業界の最大の課題は
①美容専門学校から新卒入社する美容師は実は髪の毛すら切れない
②だから会社が給料を払って3年間もの下積み期間に修業をさせる
③実は今の若手の多くがその長い修業に耐えられない
さらに修業生の人件費が先輩方の所得の圧迫し不満につながってい
こんな話でした。
 
<20歳で稼ぐのが当たり前の美容業界を創る>
そんな中でも着々とこの業界課題に立ち向かおうとする美容事業者も誕生し始めてきています。
 
一つ目の取り組みはアカデミーです。
アカデミーとは、社内に新人育成に特化した部門を作る事です。
特に今取り組んでいるのが、新人に対してシャンプーやトリートメントやカラーなどの比較的短期間で修得が可能な技術を、美容室で仕事をしながらではなく、3か月間アカデミーに席を置いて集中的にトレーニングを受けるのです。
3か月間のアカデミーから戻った新人は現場の即戦力となるので、やりがいを感じて辞めなくなっていますし、トリートメント売上げやカラー売上げを成績としてカウントするの先輩の稼ぎ(生産性)の足をただ引っ張る事も無くなるのです。
 
二つ目の取り組みはスクールです。
こちらはマツエクサロンで行われているケースです。
マツエクサロンがマツエクスクールを開校して生徒募集を始めています。
卒業後にすぐに稼ぎたい美容専門学校生や、何となく興味があって始めるママさん休眠美容師や、美容室での長い修行に嫌気がさした美容師見習いの方などもこのマツエクスクールの生徒の対象になる事でしょう。
このスクールでアイリストの資格を取った修了生からマツエクサロンで働く人が増える事で採用が進むメリットがある上、入社してから給料を払いながら研修をすると言うケースも減りますので、採用コストも育成コストも減らせるメリットもあるのです。
 
三つ目は専門学校改革です。
最後のケースは専門学校自体が変わると言うケースです。
美容専門学校から新卒入社する美容師は実は髪の毛すら切れない」と冒頭にも書きました。
これが美容業界の大きな課題だとするなら、美容専門学校では生徒が卒業した後に、就職した美容室できちんとカットやシャンプーブローやカラーなどの即戦力になる技術を教えていただく事が業界の課題解決なのかなと思います。
もちろんこれは今まで誰も異を唱えてこなかった事なので、美容専門学校に変わってもらうのはきっと簡単な事ではないのでしょう。
しかし今後は即戦力人材を採用育成するために美容室自体が美容専門学校事業を開始するところも増えてくるでしょうから、旧態依然とした美容専門学校に依存しない業界の風が吹いてくるのかもしれません。
 
これらの3つのケースを例に、今後は業界全体で20歳で稼ぐのが当たり前の美容業界」の機運を美容業界の皆さんと一緒に高めていけたらと考えます。
 
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20歳で稼ぐのが当たり前の美容業界を創る(1)

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回は美容マーケットについて書きたいと思います。
 
私たち船井総研の役割は業界課題の解決に尽きるかと思います。
目の前に立ちはだかる業界課題のせいで多くの経営者が苦労しています。
その業界課題を取り除けば会社経営は楽になるのです。
皆さんも納得ではないかと思います。
 
しかし目の前には小さな課題が山積して、案外一番大切な業界課題は見えていなかったり、見えているのだけどもその課題は変えられないものとして、見ないようにしてしまっている事の方が多かったりするものです。
 
<美容業界の業界課題>
今の美容業界の業界課題は人が辞めていく事です。
辞める理由は、
若手は厳しく長い修業期間に嫌気がさして辞める人が多いです。
②そしてベテランにおいては低賃金に嫌気がさして辞める人が多いようです。
しかしなぜそれが起きているのでしょうか?
さらに原因を深掘りしてみましょう。
 
多くの美容室は毎年美容専門学校から新卒学生を採用します。
この新卒学生は実は髪の毛をカットしたりカラーやシャンプーしたりなどの実務を美容専門学校では習得せずに卒業して美容室に採用されて行きます。(美容師の国家資格は取得します)
ですから当然、美容室側がその新人に3年ほどの修業期間をかけてシャンプーやカットやカラーなどの美容技術を教えることが美容業界の慣習となっています。
修業とは言え、その間は社員ですから当然給料は先輩美容師らの稼ぎから支払われ続けます。
 
しかし現代ではこれが少し時代に合わないようで、若手は3年もの長い修業に耐えられなくなっていますし、会社経営者にとってもこれ以上修業生の給料をベテラン美容師に稼いでもらい続ける経営の余裕を持てないインフレ時代に突入しています。
 
先に書きました「人が辞める理由」
①若手では厳しく長い修業期間に嫌気がさして辞める
②ベテランにおいては低賃金に嫌気がさして辞める
これらを解決するためにはこの業界慣習となっている美容師デビューまでの3年間の修業期間を無くして美容師がなるべく早く稼げるようにしないと美容業界の誰もが幸せになれないのです。
 
<20歳で稼ぐのが当たり前の美容業界を創る(2)>に続く
 
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