売れているお店はおもてなしの心にあふれている

~売れているお店はおもてなしの心にあふれている~
前回に続きコロナ禍に高級品が売れている理由について書きたいと思います。
前回まとめたことは
①コロナ禍の今、特定のお店では高級品が売れている。
②そのお店は「お金の使い心地の良さ」でお客様に選ばれている。
③そのお店はお客様に商品以外に「おもてなし」を提供することを重きに置いている。
こんなことを書きました。
今回はそのお店が取り組んでいる「おもてなし」について書きたいと思います。
少し前から使われるようになった「おもてなし」と言う言葉。
日本を代表するキーワードとなりましたね。
お客様を「もてなす」=「接待する」と言う意味なのですが、一般的には旅館などのサービス業に限って使われる言葉と思われがちです。
しかし本来の意味は「個別対応」する事で、お客様その人その人に合わせたサービスを機転を利かせて対応する事を言います。
お客様をひとからげの客として対応するのでなく、お客様ひとりひとり個々が求めているものを理解し、それぞれのお客様に個別に対応するのです。
飽食の時代に生きる現代の消費者は画一化された商品やサービスは既に求めていません。
ですからこの個別対応の考え方が高級品販売の世界でも強く求められているのだと思います。
ところで我々高級品を扱うお店が具体的に「おもてなし」をするとは何をする事でしょう?
恐らく物販の世界で「おもてなし」と聞くと、お客様にお茶やお菓子でもてなしたり手土産を持たせることと思われがちです。
しかしそこは本質ではありません。
物販の世界での「おもてなし」とは、お客様に最高のお買い物の時間を提供する事です。
そしてそのための個別対応の下準備をきちんとする事なのです。
実際に僕のコンサルティング先様で取り組んでいただいている「おもてなし」を例にあげましょう。
<下準備に時間をかける>
まず大切な取り組みは現在コロナと言う事もあり、全てのコンサルティング先様はお客様の健康の安全を考えてお店への来店は完全予約制となっています。
予約制にしたことにより事前に来店されるお客様の日時が分かりますので、来店予定に合わせてお客様一人一人のことを想い浮かべ、お客様一人一人にご提案する商品を時間をかけてあれこれ準備する事が出来るようになりました。
しかし商品だけが目当ての割り切ったお客様も未だ多く、お店の思いとは関係なく自分の決めた気ままな時間に来店をされます。
ですが、お店の「おもてなし」が目当てのお客様はお客様側が率先してお店側の都合に合わせて時間約束をしてくれますし、きちんと時間通りに来てくれるのもお客様側のおもいやりがなせる業と思います。
おもてなしが通じるこういうお客様は結果長くお付き合いできるお客様になるのでしょう。
<全員でお迎えする>
「おもてなし」で大切なのはチームプレーです。
いらっしゃるお客様の情報を全チームスタッフや販売応援いただく問屋さんにしっかり共有します。
それにより息の合った接客が出来ますし、何より売り場全員参加でそのお客様をお迎えするウエルカム感が生まれます。
特に呉服や宝飾販売の場合は問屋さんの販売員としての役目がとても大きく、問屋さんはお客様のお名前や来店時間や予算感などの情報を把握しているのとそうでないとでは販売結果は雲泥の差になるのです。
ですから販売応援いただく問屋さんとは必要以上にしっかりとした情報共有を行うのです。
<試着(着装)でおもてなしの総仕上げ>
「おもてなし」の総仕上げは試着(着装)の時間です。
お客様はこの時間は至福の時間であり、そしてお金の使い心地を確認する場なのです。
スタッフは事前にそのお客様を想い、事前にじっくり時間をかけて準備した提案商品をお客様に対してスタッフ自らが試着(着装)します。
丁寧に。そして楽しく。そしてドラマチックに。
それが「おもてなし」の総仕上げとなります。
もし一生懸命な「おもてなし」をお客様に提供できればきっとお客様にはその心が通じ感動していただける事でしょう。
ご提案した商品と、おもてなしの両方を気に入っていたければ、当然お客様はお買い物も弾むことでしょう。
しかしもし商談が決まらなかった場合でも落ち込む必要はありません。
商談が決まらなかったと言う事はそのお客様の事をまだまだ知らなかったと言う事です。
その失敗を通じて一つ深くそのお客様を理解する事が出来たと言う事でもあるのです。
お客様をおもてなしするためにはひとつひとつコツコツとお客様の事を深く知ってゆくことが大切なのです。
また次回にはひとつレベルの上がったおもてなしをお客様に提供出来るようになるのだと前向きに考えて下さい。
そしてお客様はそんな風に一生懸命に自分個人に寄り添ってくれるスタッフやお店が大好きですし、それが「お金を使うならここで使おう!」と言う強い動機になるものです。
ご覧いただいたように取り組んでいる事は実はシンプルかつごく当たり前のことなのです。
しかし、このごく当たり前のことを全社員が徹底して行うことは難しいのです。
その徹底こそがコロナ禍に好調を手にするカギになっているのです。
 

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