買い物は「娯楽」 催事販売バブルの今

いつも読んでいただいてありがとうございます。

 
先日放送された中京テレビ制作の「オモウマイ店」で紹介されたスーパーマーケットは衝撃的でした。
見逃した方はこちらで。
 
 
山梨県北斗市に営業されている「ひまわり市場」さんです。
 
1.ひまわり市場の戦略
何が衝撃かと言うと、そのマイクパフォーマンスです。
長年流通小売業のコンサルをしてきましたが、その業界の勝ち方のセオリーは「品揃え」でした。
「良いものをより安く」をモットーに営業をしていれば必ず繁盛する。
と言う勝ち方を戦後今まで誰もが疑わなかった戦略でした。
 
しかし現実はそうではありません。
どこも「良いものをより安く」の営業は消費者目線ではどのお店も大差なく、それだけでは勝てない事は事業者もうすうすわかってきたのが今ではないかと思います。
特に物はネット通販でほとんどの物が買える時代です。
その商流の時代にはただ「良いものをより安く」だけでは勝てないのです。
 
2.買い物は娯楽の時代へ
インターネットでほとんどの商品が手に入る時代に、わざわざお店まで明日を運ぶには新しい価値が要るのでしょう。
その一つの価値が「娯楽性」かと思います。
このひまわり市場さんのマイクパフォーマンスの取り組みは娯楽性にあふれています。
番組内でお話しされていた印象に残った言葉があります。
 
「並べるだけじゃダメ」
「並べてわかるのは100人に1人」
「だったらしゃべる」
 
本当にそうだなと共感しました。
消費者は良いものの本質は100人中99人はあまり分かっていません。
それは説明書きやポップやネットのレビューを観ても分かるものではありません。
それならお客様の心に届く「しゃべり」と言う娯楽的な方法で分からない99人の人に納得いただくと言う戦略は時流に合っていると思います。
 
皆さんもご存じのテレビショッピング市場もこのお話しのパフォーマンスによる娯楽性がウケてテレビショッピング市場が成長したのです。
 
3.呉服業界の戦略も買い物は娯楽へ
私が関わっている呉服市場自体は衰退産業ですし、日々の店頭来店は本当に少ないのが市場の衰退を物語っています。
しかし、こと「催事販売」においてはそうではありません。
この催事販売はとても好調なのです。
この催事販売を伸ばして私の関わっている呉服店は二けた成長をしているところが多いです。
なぜ催事販売が伸びているのか?
それが今の商流に最も必要な「娯楽性」なのです。
私の関わる呉服店では、つい楽しくてお買い物してしまうための仕組みにあふれています。
 
①催しにはテーマを持つ
催事自体が特別な機会です。
催しにはきちんとしたテーマを持っています。
テーマを持つことは商品が目的ではなく、体験が目的になりますのでお客様の期待感が高まると同時に娯楽性が高まるのです。
 
②催しには非日常空間を演出する
普段のお店とは違う設えをして非日常空間を演出しています。
また、入り口にはテーマを物語る「見せ筋商品」と呼ばれている非売品が展示されて催しの娯楽性を高めています。
また、高級品の販売の場合、「買う事」が目的の来店はそうそうありません。
「見るだけ」を目的として来店していただく娯楽性で客足は増えるのです。
 
③メーカーが主人公
催事では売り場の主人公はしゃべれるメーカーさんです。
ひまわり市場さんのごとく、催事会場の売り場にはしゃべれるメーカーさんを催事ごとに招きます。
このトークパフォーマンスの娯楽性が大きく売り上げを決めているのです。
このトークによる販売効果がひまわり市場さん同様に大きいのです。
 
④共感する相手はお店のスタッフ
催事成功のとどめはお店のスタッフがお客様と同じ目線に立ち、共感してあげるサービスです。
人が楽しかったと感じるのは実は2回あります。
一つは楽しい事を体験した瞬間。
そしてもう一つはそれを仲間と共有して共感を得られた瞬間です。
催事ではあえてお店のスタッフは売り手に回らず、お客様の立ち位置に立ちます。
そして、目の前の商品を着用したシーンを一緒にイメージして共感してあげるのです。
この共感こそが究極の娯楽なのです。
 

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