収益のためでないビジネスがあってもいい(3)

いつも読んでいただいてありがとうございます。

 
以前、2回シリーズで「収益のためでないビジネスがあってもいい」と言うテーマでコラムを書きました。
このテーマは時流に合っているのか、たくさんの反響をいただきました。
ありがとうございました。
 
先日「ガイアの夜明け」で「令和流 次世代の育て方」と言うテーマの放送がありました。
その回で「中川政七商店」が取り組んでいる新しい店舗の話題が取り上げられていました。
まさしくこの試みも「収益のためでないビジネス」と言えるので面白く視聴させていただきました。
 
その番組は、東京駅にほど近い一等地に、中川政七商店の新店舗をオープンさせる開発案件の内容でした。
なんと、その新店舗の開発案件を大学生に任せると言うのです。
全国からこのプロジェクトに参加を希望する大学生を募り、200名の応募者の中から選抜された18名がこのプロジェクトを回すことになりました。
番組では選抜された大学生が本気で新店開発にのぞんでいる姿が描かれていました。
結果として売り上げが立ったのは初日だけで、そのお店は課題をたくさん残す不採算店になってしまうと言う番組の終わり方をしていました。
中川社長もインタビューでは
「大学生がビジネスをしてうまく行くほど世の中は甘くない」
「しかしビジネスとして成功するのは理想だが、このプロジェクトでは他に多くの得るものがある」
と話しをされていました。
 
一見、大学生にお店をやらせると言う乱暴な話ではありますが、中川社長の頭にある「他に得るもの」と言うところが大きいなと思いました。
 
<収益の他に得るもの>
①今までにない店舗のアイでディアが生まれる
私たちのようなプロが新店舗開発をすると、「収益」というゴールが必須です。しかし、大学生にとっては収益より純粋に「お客様が喜んでくれる事」を優先にお店のコンセプトを考えるので、柔軟でユニークな客目線のお店が出来る可能性が生まれます。
 
②優秀な人材の採用が出来る
中川社長は業界でも有名な「ブランディング」の達人です。
大学生に新店舗開発を任せると言う奇想天外なプロジェクトは優秀な大学生のアンテナに反応することでしょう。
「若手にどんどん大きな仕事を任せてくれると企業」と言うブランディングは優秀な人材を集めることに一役買う事は間違いないです。
 
③幹部育成が出来る
中川政七商店の考え方で素晴らしいのは「下積み」が無いと言う事かと思います。
社員は全員が幹部と言う考え方なのでしょう。
入社してすぐに「マネジメント」を叩き込み、全員が「経営者」になってもらうと言う考え方を感じました。
 
これらの「収益のほかに得るもの」を、企業として実施しようとすれば、莫大なコストが本来はかかります。
しかし、新店舗開発と言う投資を通じてこれらの効果を得る方が、断然コスパがいいと言う考え方なのでしょう。
中川社長には恐れ入りました。
 
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